2009年3月26日木曜日

ベリーニの牧場の聖母と風景の中のピエタ

ロンドン・ナショナル・ギャラリーの「牧場の聖母」

ヴェニス・アカデミア美術館の「風景の中のピエタ」


この2枚の絵は、今はロンドンとヴェニスに分かれていますが、ジョヴァンニ・ベリーニがほぼ同じ時期に描いた作品で、私はセットで描かれたものだと思っています。

「牧場の聖母」で、マリアは自分のひざの上で眠っている赤ちゃんが、後に死体で、同じように自分のひざに横たわることになるだろうと予感しているようです。幼児もほとんど生気のない姿に描かれおり、十字架上での死ぬことを予感させています。背景に叙情的な風景が広がりますが、よく見るとコウノトリと蛇、カラスと枯れ木など象徴的なものが描き込まれています。「牧場の聖母」では前方に草で青々した大地(生命)、後方のむき出しの土(死を象徴)が描かれていますが、「ピエタ」では、逆になっています。

結構、深い意味がある絵なんです。

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