2009年6月6日土曜日

ハンプトン・コート宮殿 ウイリアム3世のアパートメント

ウイリアム3世のアパートメントの入口階段にある天井画と壁画は圧倒されます。

イタリア人のアントニオ・ヴェリオ作。

ウイリアム3世をアレキサンダー大王、シーザーを先王ジェームス2世に例えて、アレキサンダー王がシーザーを打ち負かした場面(時代的にはありえませんが・・・)が描かれています。

階段の手すりはフランス人のジャン・ティジューのデザインです。

ここは近衛兵室。無用な者が奥に入らないように近衛兵が見張っていた部屋です。壁は銃や剣などの武器で飾られています。18世紀には、毎年春にすべての銃器を取り外し、掃除して、元に戻す作業が繰り返されました。


次の部屋は王の謁見室です。2枚のタペストリーは、1540年代にヘンリー8世が購入した、「ヘラクレスの12の功業」と「バッカスの勝利」です。

実際の謁見は奥の執務室で行われましたが、王がいなくても、この部屋に入るすべての者は空席の王座に頭を下げる慣わしでした。王座を飾る天蓋は、1700年に作られたもので、王の紋章が刺繍されています。

ネラー画の「馬上のウイリアム3世」の肖像画は、この部屋に飾るために制作されました。

食事室は、宮廷の家臣に見守られながら公開の食事をとった部屋です。奥の扉から料理が運びこまれました。

タペストリーは、「使徒行伝」から「奇跡の漁」と、

「セルギウス・パウラスの前で目をつぶされる魔術師エリマス」です。

執務室は宮殿内の様々な国事を行うための部屋で、外国の大使の謁見や宮廷の政務などが執り行われました。

タペストリーはヘンリー8世の注文による「アブラハム物語」の中から、

「エジプト人によるサラの返還」と「アブラハムの前に姿を現わす神」です。

シャンデリアは1986年の火災の時に被害を受けましたが、水晶の破片を回収して、丹念に修復作業をした結果、昔の姿を取り戻しています。

この部屋からのプレヴィ・ガーデンの眺めは最高です。

次の応接室には、宮廷の長官とか政府高官など限られた人しか出入りを許されていませんでした。タペストリーは「使徒行伝」から「聖ステファノの殉教」と「聖パウロの回心」。

ヴァン・ダイクによるチャールズ1世の肖像画の複製(オリジナルはウインザー城)。王のアパートメントは奥に行くほど豪華さを増していきます。

大寝室は、王が毎朝着替える時に、宮廷内の特権階級だけに謁見を許す儀式的な部屋です。2枚のタペストリーは「使徒行伝」の「アテネで説教する聖パウロ」と「アブラハム物語」からエフロンの野の購入」です。暖炉の上の肖像画はアン・ハイド(メアリ2世の母)。

実際には隣の小寝室で王は寝起きしていました。

天井はヴェリオの「ヴィーナスの膝で眠るマース」です。ここでは軍神も鎧兜を脱いでくつろぐという意味があるようです。

マントルピースの上には中国と日本の磁器が飾ってあります。地震がない国だとはいえ、この危ない飾り方は、ちょっと・・・。300年前の貴重な磁器ですよ~。

一番奥の部屋はウイリアム3世の書斎です。机は王が実際に使ったもので、晴雨計と時計も王のために作られたものです。

階段のところにある小部屋のチャールズ2世のために作られた蓋付き便器も、当時の王宮の生活を知るのに貴重な資料です。

階段下には、王のプライベート・アパートメントとして使われていた部屋が続きます。角の部屋の暖炉の上はグリンリング・ギボンズの彫刻で飾られています。

中央にある小さい部屋は、実際に王が寝室として使っていた部屋だといわれています。扉の錠をお見逃しなく。

次の部屋は、ウイリアム3世の時代の家具や絵画を飾って、

小規模な書斎が再現されています。

暖炉の上のパネルに楽器の彫刻が施されているので、音楽室だったのかもしれません。

デルフト焼きのチューリップ差し。

テーブルの上に本当にチューリップが飾ってありました。

オランジェリーは1700年代には温室と同義語で、冬の間オレンジやレモンの木を寒さから守った場所です。

オレンジとレモンの木は、夏の間は庭に出します。ウイリアム3世がオランダのオレンジ家の出身だったこともあり、オレンジの木はイングランドで大流行しました。

ウイリアム3世がプライベートに賓客をもてなすのに使われた応接室です。読書室のように内装が配されており、当時のままの家具が展示されています。

最後の部屋はウイリアム3世の内輪の晩餐会に使ったダイニング・ルームです。

食器は当時ハンプトン・コートで使われていたものの複製です。チェリー、メレンゲ、フルーツの砂糖漬けをピラミッド状に盛ったデザートがみられます。壁の絵はネラーがメアリ2世に使える女官たちを描いた「ハンプトン・コートの美女たち(Hampton Court Beauties)」です。

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