ハドリアヌスとアントニウスの時代

映画テルマエ・ロマエはハドリアヌス帝時代の晩年（134－138）が描かれています。

ハドリアヌス（在位117－138年）

市村正親さんが演じていたハドリアヌス帝はスペイン生まれで、トラヤヌス帝の従兄弟の子供でした。117年に即位したハドリアヌスは、まず先帝トラヤヌスが獲得したメソポタミアの領土を放棄しました。

 

ローマ市民に公共浴場や見世物を数多く提供するなど市民の人気に配慮しました。ハドリアヌスが再建したパンテオンは西暦118年から10年の歳月をかけて造られました。あらゆる神を祀った神殿という意味で、建てられた当時はジュピターをはじめ天空を支配する神々の像が並べられていました。ドームの直径、高さともに43.3メートル。

「旅する皇帝」ハドリアヌスは121年から帝国全土視察の旅に出発します。ガリアからゲルマニア、そしてブリタニアへ渡り、全長100キロ外敵の侵入に備えたハドリアヌスの長城の建築を指示します（122年）。そしてスペイン、北アフリカ、小アジアギリシアへ、シチリア島を経由して126年に一度ローマに帰り、128年に旅を再開、再びアフリカ、アテネ、小アジア、ユダヤを訪れています。この時エルサレムにローマ都市を再建しますが、大反乱が起き、ユダヤ人は故郷から完全に追放されて流浪の民として各地に流れて行きました。

アンティノウス

ハドリアヌス帝に寵愛を受けた美少年は、130年にエジプトを訪れていた時にナイル川で溺死しました。134年にハドリアヌススは旅を終え、ローマに帰ります。

 ローマの東約30キロにあるティヴォリの別荘は121年着手、133年完成。ハドリアヌスは旅行中に感銘を受けた建物をもとに築かれ、その属州や都市の名前が付けられました。

子供に恵まれなかった皇帝は（北村一輝さん演じる)ケイオニウスを養子としましたが、138年にケイオニウス死去。結局アントニヌス・ピウスを養子に迎え、138年に死去しました。墓はサンタンジェロ城。

アントニヌス・ピウス（在位138－161年）

宍戸開さんが演じたアントニヌス・ピウス。23年間、イタリアを出ることなく全帝国を見事に切り盛りしました。ハドリアヌスの長城の北160キロにアントニヌスの長城を作りました。

マルクス・アウレリウス（在位161－180年）

スペイン南部出身で、家庭教師に囲まれて育ちました。在位中は外敵からの攻撃が絶えず、常に戦争に明け暮れ、疫病に悩まされたり苦労が絶えませんでした。

ルキウス・ウェルス（在位161－169年）

ケイオニウスの息子。マルクスと同格 の共同統治皇帝になりました。パルティアやゲルマン部族との戦い、169年に病死しました。

ルキウス帝の青銅像（在位161－169年）