2016年10月28日金曜日

大英博物館 エジプト・ミイラ (Room63+62)


時代とともにミイラのスタイルは変化しました。

口開きの儀式。

中王朝時代(紀元前2000年ごろ)の木棺の東側にはウジャトの眼が描かれています。体の左側を下にして寝ているミイラは、この眼を通して外を見ることができ、太陽が昇るのを見られるようの東を向いていました。

木棺の内側には呪文が描かれています。

内臓はミイラとは別に防腐処置を施され、カノポスの壺に入れて保護されました。

紀元前1500年以降は、 人=肝臓、ジャッカル=胃、ヒヒ=肺、ハヤブサ=腸を守っています。

死後の世界でも労働しなければなりません。

裕福な人々は死後の世界でも労働を肩代わりしてもらうため、色を塗った木の人形を墓に入れました。

この少女はパンを載せたバスケットを運んでいます。墓が閉じられた後、人形は人間になると考えられていました。

ジェドの柱はミイラを包む布の間に入れられたお守りの一種です。オシリスの背骨を表し、死後ミイラに力を与えると考えられていました。

オシリス神は羽毛のついたアテフ冠をかぶっています。そして、殻竿と牧杖を持っています。


第17王朝(紀元前1650年)アンテフ王のミイラの棺は木の幹を切り抜いて、漆喰を塗り、金箔を貼ってあります。

18王朝時代のマスク 紀元前1500年ごろ ハゲワシの翼のついた金の頭飾り



第18王朝(紀元前1300年ごろ)の神殿の儀式で音楽を担当する神官(歌手)だったヘヌトメヒトの棺は、カルトナージュ(張り子細工)製の内側棺と、2つの金箔を貼った木製の外側棺がセットになっていました。


棺の前の黒い箱はカノポスの壺(内臓入れ)です。

 ヘヌトメヒトのシャプティの箱。エジプト国民は毎年農作業や灌漑事業に徴用されましたが、裕福な人はお金を払ってその仕事を代わってもらうことができました。死後の世界でも、オシリス神のために種まきや収穫作業をしなければならないと考えた裕福な人たちは、死後の世界でも労働を肩代わりしてもらうため労働者の人形を墓に埋めました。

 
Katebetのミイラ 第18王朝 紀元前1300年 テーベ 金色のマスクをし、お腹に天の女神ヌト、心臓スカラベ、アヌビスを表す飾り板、シャプティを置いています。

新王国時代以降、棺には来世での復活を遂げるための呪文が書かれたパピルスが納められました。 パピルスは死者の書と呼ばれ、アニの墓から出土したものです。アヌビス神が真理の羽マアトと、アニの心臓を天秤にかけています。

真実の羽と心臓が釣り合えば オシリス神の世界に行くことができますが、嘘をつくと怪物に魂を食べられてしまいます。

右は第19王朝のラムセス1世(1294BC)の木像。左は第20王朝のラムセス6世(1126-1108BC)の木像。

 第21&22王朝(1069~730BC) のミイラの棺はカラフルで美しいです。

聖職者であったことを表す赤い革紐

表面の装飾はますます複雑になり内側棺には大きな神や女神が描かれました。

シャプティはミイラのような形をしています。

石、木、粘土、蝋、青銅など様々な材料で作られましたが、一般的なのはファヤンス焼きでした。



棺には、死後の世界への旅の途中にミイラを守るためのシンボル(太陽、ホルスの目、天の女神ヌト、ジェド柱など)が描かれています。

ミイラは切手の絵柄にもなりました。

布と

サンダル。

ビール作りの人形と農耕をする人形、

ナイル川はエジプトの主な交通路だったので、死後の旅に供え模型の舟を墓に入れました。

葬送の舟。ミイラになった死者は2人の泣き女の間に横たわり旅します。



墓に供えられたザクロ

Takhebkhenemのミイラ 第25王朝 紀元前700~680年ごろ テーベ

末期王国時代 紀元前600年頃のミイラ テーベ


Hornedjitefのミイラ プトレマイオス3世時代(264-222BC)のミイラ テーベ
アレキサンダー大王がエジプトに侵入してからはギリシャ人がエジプトを支配します。ギリシャ人はエジプト人のミイラづくりの風習を取り入れましたが防腐処理はうまく行われていませんでした。

Pjedhorのミイラ プトレマイオス王朝時代 紀元前250年ごろ

プトレマイオス王朝からローマ時代時代にかけて(紀元前100~紀元後100年)のミイラ

アルテミドルスの肖像  ローマ時代(100-120)のミイラ 

ローマ時代の木板に 色を付けた蝋で描かれた写実的な肖像画は、生きている間に描かれて家に飾られていました。

 このローマ時代の女性のマスクは花の冠、金のイヤリング、ビーズのネックレス、翼のついたスカラベで飾られています。

ローマ人のミイラの棺には日常の衣装(トーガ)を着た死者の姿が描かれています。

 ローマ時代(200年ごろ)の女性の棺は、かつらや金の指輪などたくさんの装身具を身に着けています。

オシリス神のマスクをつけている人形を包む亜麻布の中にはトウモロコシの粒が入っています。

 第3中間期のオシリス神の像。

 プトレマイオス王朝のアモン・ラー神の像。

 イシス神とネフティス神。

 ホルスの4人の息子。カノポスの壺に入れられた大切な臓器を守りました。

 翼があるスカラベは心臓のお守り。ミイラが知能を損なわずに、死後の世界へ行けるように。

 ホルスの眼。ウジャトの眼。ミイラを守り、生命力を与えます。

 イシスの帯。胸の上に置かれ、ミイラを守るシンボル。

 スカラベは糞の玉から生まれてくると思われており、死後の再生と結びつけて考えられていました。心臓の重さ測定の際に役立つお守り。

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