2018年2月19日月曜日

V&A ヨーロッパ・ギャラリーを見る前に



ルネッサンス

古代ローマ人の建築が再評価された。


後期ルネッサンスに活躍したのが、アンドレア・パラディオ。

古典建築の神殿風柱と切妻屋根が特徴で、

貿易で富を蓄積した大商人たちから絶大な支持を受けました。

貴族や富裕な商人たちは、イタリアの宮殿風の壮大な邸宅を建てました。

室内壁面をオークの板張り、天井は漆喰の豪華なくり型で飾り、

飾りだなつき暖炉が部屋中心となる構成でした。


メロン飾りの柱で、天蓋を支えた寝台。

ノンサッチ・チェストと呼ばれる収納たんす。

メロン飾りの脚に、市松模様の象嵌装飾をした引き伸ばしテーブル

ボビン・チェア

ファージンゲール・チェア(大きなスカートの型がくずれないように肘掛を取り除いた)


イニゴ・ジョーンズのバンケティング・ハウス




バロック



バロックは反宗教改革のローマで始まり、フランスやオーストリアの宮廷で発展します。

曲線的で豪華な装飾性、堂々とした表現、対象性が特徴です。



ピューリタン革命の間、質素な生活様式が強制的に志向されていたイギリスでは、

王政復古になると、人々は快楽を求め、華やかさがよみがえりました。





家具の主要な材料はオークからくるみに代わった。

キャビネットの表面を総称する技法は、彫刻ではなくくるみの化粧張りと寄木細工。

全体を華麗なタピストリーで張り包みしたウィング・チェア。
キャブリオルというS字型の彫刻された曲がり脚。
飲茶が流行すると、ティーテーブルが造られた。
グリンリング・ギボンズの彫刻が流行した。
婦人の寝室で使用される書き物と化粧ができるキャビネット。
衣装を収納する引き出しつきの大型衣装たんす。
天井に届くほどの高さの天蓋からタピストリーのカーテンを吊るした寝台
上流社会ではお茶を飲む習慣が始まり、ティー・テーブルができた。
カードや賭け事が流行し、カード・テーブルや、ゲーム・テーブルが作られた。
鏡とサイドテーブル。


ピエトラ・ドゥーラ。

椅子の背は高くなり、先端と前足の間に透かし彫り装飾、椅子の座と背に藤張りを採用することが流行した。

ルイ14世風の豪華な寝台。



変化を求めるバロックは、都市空間の中で舞台装置のような役割も担い、

遠近法など奥行き感を強調する手法が発展。

波型の曲面、ねじれた柱、装飾的2本の双子柱を用いるなど、

斬新なデザインが生まれました。

クリストファー・レンのセント・ポール大聖堂



パラディアン風

室内のフリーズ、破風、イオニックの柱つき、壁のデザイン。
マホガニー。



ロココ
フランスではルイ14世が亡くなると、厳格な礼儀作法や宮廷儀礼に対し、


私的な生活を快適にするという生活様式が生まれました。

18世紀にフランスのサロンで発達したロココ文化は優美、洗練、貴族的でした。
軽快・華麗・非対称を特徴にし、アラベスクなどの植物モチーフの曲線や渦巻き装飾が多用されます。

イギリスでも貴族の間で、フランス貴婦人の優雅な姿にあこがれてロココ朝衣装を愛好する人がいました。
ポンパドール夫人を代表とするロココ・ファッションはドレスとスカートと胸当てが一揃いになっており、
リボン、造花、レースなどで飾り、その上に、ブレスレット、ブローチ、ネックレスを付けます。
靴はかかと部分が覆われないミュールです。
細い胴と腰のふくらみが貴族調を表現する主要素だったので、コルセットの技術は精巧になります。


スカートを広げるためのペチコートも、はじめ釣鐘上の巨大なものが流行しましたが、

不便をきたしたため、左右に拡大し、前後の厚みをできるだけ短縮したパニエという楕円型のものが流行しました。

ジュエリーも非対称デザインで、リボン、羽、花、葉といったモチーフが多用されます。
シノワズリ(異国趣味)の漆塗りの家具の流行。


イギリスでは・・・

イギリスでは、田舎の領地でのどかな田園生活を送る、フランスの豪華な宮廷衣装とは一味違った
カジュアルで実用的なファッションが発達しました。
産業革命の中で市民階級が勢力を伸ばし、価値観にも変化が現れつつありました。
男子服の二部形式を女子服にも取り入れた、ジャケット式上着が採リ入れられています。
ペチコートはすたれ、コルセットも和らげられました。
18世紀になるとロンドンなど都会に人口が集中し始めました。
限られた土地に人間が効率的に暮らせるように、テラスハウスや、タウンハウスと呼ばれる集合住宅が発達しました。
ベッドフォード・スクエアなど



新古典

1748年のポンペイの古代遺跡の発掘を契機に、古代芸術への関心が高まり、
古代ギリシア・ローマを模倣する新古典様式が流行しました。
フランス革命後、服飾様式も一変し、ギリシア風が流行しました。
素肌に白いモスリンのワンピースを着るシュミーズ・ローブは、コルセットなどを使用しません。
白モスリンは、インドの安い材料を使って、英国で産業革命が進行する中、機械生産されるようになったもので、
ヨーロッパへ輸出され、大流行になりました。

ジュエリーでは月桂樹や花綱飾りや垂れ綱飾りが多用されます。
女性の髪の毛は後に引き上げられて耳が露出したので、大きなイヤリングが使われました。
ネックレス、イヤリング、ブローチ、ブレスレット・ティアラなどを同じ素材、同じデザインで作ったパリュールが流行します。
古代を意識してカメオが多用されました。

装飾に蓮区の飾り綱、メダリヨン、スフィンクス、壷といったモチーフが、壁や家具の装飾として用いられた。
彫刻は浅く平面的に処理し、淡い色調を好んで用いた。
背もたれに卵形、ハート型、盾形を用い、直線の先細りした脚。

ローマの大理石の玉座のような椅子、丸テーブル。
モノポディアムと呼ばれる動物の頭と爪足からなる足型がテーブル、サイドボードなどの支柱として流行。
カウチ(寝椅子)

ロバート・アダム



ヴィクトリア時代

上流階級と中産階級はこれまでにない豊な生活に恵まれました。
家庭生活を大切にして、快適な生活を送るために、過去の装飾様式を統一もなく取り入れました。
スプリングを入れ、豪華な布地で全体をふっくら張り包みにしたソファーが愛用されました。
鉄製品が家庭用設備として広く利用され、鉄製の椅子や寝台なども製作されました。
ウイリアム・モリスは家具、タピストリー、壁紙、ステンドグラス、織物などをデザインしました。

フランスの王政復古時代に再び貴族調が好まれて、19世紀半ば頃に巨大なスカートが発展します。
クリノリンという大型ペチコートと強いコルセットによるスタイルで、新興成金の間ではやりました。
1870年代にはスカートの後半分を張らせるクリノリン、80年代には腰の部分だけを膨らます腰当形式となり、
これを最後に道具を用いた技巧的シルエットの流行はなくなりました。




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