旧約聖書にはイスラエル建国の歴史が書かれており、ユダヤ教の聖書に当たります。日本だと日本書紀みたいな感じでしょうか?ユダヤ教では、イエスを救世主だと認めていません。でも、ヨーロッパの美術館には旧約聖書を主題にした絵もたくさんあるので、教養として知っておいた方がいいと思います。今日は、旧約聖書について、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの絵で解説しようと思います。
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アダムとイブ。神は土でアダムを作り、アダムの骨からイヴをつくりました。エデンの園で楽しく暮らしていましたが、イヴが蛇にそそのかされて知恵の樹から林檎を食べてしまいました。神は女には子供を生む苦しみと男への服従を、男には食物を得る苦労を与え、エデンの園から追放します。
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人間の数が増えると、神を恐れなく傲慢な気持ちになり、バベルでは天まで届く高く大きな塔を作って名を上げようと思う人が出てきます。現在でもいますね、そういう人。神は人間のこの高慢な企てを拒むために、彼らの言葉を混乱させました。
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アブラハムと妻サラは神から待望の子供を授かり、イサクと名づけられます。平和な日が続きましたが、ある時神は息子を捧げよと命じます。彼はイサクを山に連れて行きます。
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祭壇の上でイサクの喉元に小刀を当てた瞬間、天子が現れてその手を止めると「お前が神を畏れるものであることがよくわかった」という神の声を聞きました。
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アブラハムの甥のロトの住んだ街は男色のはびこるみだらな町でした。天使たちがロトの前に現れ、「明日この街は滅びます。急いで逃げなさい。」と告げました。半信半疑のままロトの家族はソドムとゴモラの町から逃げ出しますが、「後ろを振り返ってはならない」という神の言葉に反して、未練がましく後ろを見たロトの妻は塩の柱になってしまいました。その後、子孫を絶やすまいとする娘たちが、ロトにワインを飲ませ酔わせて、父親と交互に交わります。
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アブラハムの子のイサクが年頃になり、嫁を探すために下僕のエリエゼルをメソポタミアに差し向けました。井戸端で、水瓶から彼にたっぷり水を与えて、ラクダたちにも水を飲ませたレベッカをを見て、この人だと思いました。レベッカはイサクの妻となるために、下僕とカナンへと旅立ちます。
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イサクの孫のヨセフは、「兄さんたちの穀物の束が、僕の束にお辞儀をするのを見た」と吹聴したことから、エジプトに向かう隊商に売られてしまいます。
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エジプトでは七頭の痩せた牛が七頭の太った牛を飲み込んだという王の夢を、七年の豊作とそのあとの飢饉と解いて、夢解釈人として出世しました。飢饉でエジプトを訪れた兄たちと会い、その後父のヤコブをエジプトに呼び寄せました。
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その後、多くのイスラエル人がエジプトに住みましたが、エジプト人はイスラエル人が増えるのを好ましく思いませんでした。そこでエジプト王はイスラエル人の男子が誕生したら殺すよう命令を出しました。モーセの母親は葦で編んだ籠の中に赤ん坊を入れ、川に流しました。ちょうどその時に水遊びに来ていたエジプト王女が赤ん坊を発見し、モーセは宮殿で育てられることになります。乳母として連れてこられたのは、モーゼの母親でした。
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立派に成長したモーセは、燃えているのになかなか燃え尽きない柴を目にします。近づくモーセに、神は「モーセよ、イスラエル人を救い出し、カナンの地に人々を導くがいい。」と言います。
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モーセをはじめイスラエル人はエジプトを去りますが、王は軍を率いて彼らを紅海に追い詰めました。モーセが手を差し伸べると海は二つに分かれて渡ることができました。
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エジプトを脱出して荒野の中を歩く一向は空腹を訴えました。ある朝露が降り、乾くとマナという白い食べ物が残りました。「主が下さったパンだ。必要な分だけ集めるがよい。」とモーゼは言いました。
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エジプトを出てから3ヶ月して、モーセはシナイ山に到着しました。山に登って神様から十戒を授かりました。
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モーセがなかなか山から帰ってこないので、人々は黄金の子牛をつくり、礼拝しました。モーセは怒り、授かった板をたたきつけ、牛の象を粉々にしました。
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カナンへの旅も辛さを増し、不平を言う人が出てきました。神様は蛇を遣わし、多くの人がかまれて死にました。人々は「どうか蛇を取り除いてください」とモーセに頼みました。モーセは青銅で一つの蛇を作り、その後蛇にかまれてもこれを仰ぐと命が助かりました。
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サムソンは20年間イスラエルを統治しましたが、乱暴者でした。ぺリシテ人のデリラという女性に恋した彼は、怪力の秘密が頭髪にあることをしゃべってしまいます。デリラに頭を刈られた彼は敵の捕虜になり、目をえぐられ、粉引きの仕事をさせられます。しかし、髪が伸びると力も戻り、柱を押し倒して脱出しました。
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ベツレヘムのルツは、夫や子供たちに先立たれ、姑のナオミの世話をしながら、畑で一日中落ち穂を拾い、パンを焼いて暮らしていました。それが姑の親類のボアズの心をとらえ、結婚します。
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エッサイの樹はキリストの家計図のことです。エッサイが下に横たわり、そのわき腹生えている木のすぐ上にはダヴィデ王がおり、上中央には聖母子がいます。
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ダヴィデはぺリシテ軍の戦士ゴリアテと戦い、投石によって眉間に打撃を与え、その首を落としました。ダヴィデは首都をエルサレムに移し、イスラエル王国は繁栄の時代を迎えます。
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ダヴィデは人妻バテシバを見初めると、その夫に危険な任務を与えて戦死させ、彼女を妻としました。
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ダヴィデとバテシバの間の子ソロモンは、知恵者でうまく国を治めました。イスラエルが繁栄の頂点に達すると、ソロモンは巨費を投じてりっぱな宮殿を建設しました。
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ある時、エジプトからシバの女王が彼の知恵を試しにやってきましたが、難問すべてを簡単に解かれると、彼女は王の知恵の素晴らしさと、宮殿の立派さに感嘆し、多くの贈り物をしました。しかし、乱費がたたり、王の死後、王国は南北に分裂しました。
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ペルシャ王クセルクセスは、ユダヤの娘エステルを妃に選びました。ユダヤ嫌いの大臣ハマンはユダヤ民族全滅を企てたことを知ったエステルは王のものへ参上して陰謀を暴露しました。
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北イスラエルに、干ばつを預言し、子供の命を救ったエリヤという預言者がでます。しかし、彼は王妃イゼベルの広める異教のバール神信仰を糾弾したため、王妃に命を狙われて荒野に逃げました。天使が現れ、彼にパンと水を与えたので、激しい生活に耐えることができました。
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イザヤ、エレミヤ、エゼキエル、ダニエルを四大預言者というのだそうです。特にイザヤは、エッサイの家系から救世主が出ることを予言したことで知られます。イスラエルはアッシリアの支配下になりますが、イザヤの預言した通り、敵軍に奇病が流行して、国はかろうじて助かります。
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アッシリアに代わってバビロニアが強大になり、エルサレムは占領され、人々はバビロンへ連行されます。ソロモンの神殿や宮殿破壊され、国は滅びました。この絵に描かれているバビロニアのベルシャザル王は、父王のネブカデネザルがエルサレムの神殿から略奪した金銀の器でワインを飲んでいました。そこに人の手が現れて白い壁に文字を書き始めました。それは、その夜にベルシャザルが殺されて、バビロニア王国が滅びるという予告でした。
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エルサレム近郊に住む未亡人ユディットは、アッシリアの陣地に侵入して、相手を信用させ、ホロフェルネス将軍が眠り込んだ隙に側にあった剣で首を切りました。将軍が亡くなったアッシリア軍は混乱して、退散しました。
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トビトは貸した金を集めに息子のトビアスをメディアに旅立たせます。大天使ラファエルが同行します。