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アンリ・ルソーは日曜画家でした。美術学校に通うこともなく、50歳近くまで仕事の合間に描いてきた作品は、人々に「子供のいたずら描き」と物笑いの種にされていました。が、20世紀に入ると、その作品は独創的なテーマ設定、詩的表現の巧みさ、大胆な画面構成で、大きな評価を得ることになりました。
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アンリ・ルソーは1844年フランス北西部で生まれ、24歳でパリに住み、27歳で入市税関に採用されました。パリの城壁の門に一日中立ち、商品の入市税を取り立てる仕事は単調でしたが、その頃から「絵画の描き方読本」を片手に、こつこつと絵を描き溜めていました。サロンに出品しますが落選。しかしアンデパンダン展への出品を勧められます。そして、少しずつ好意的な評価を受け始めます。
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45歳の時、パリ万博博覧会で、世界各地から集まった工芸品を見て、ジャングルや、咲き誇る南方の花々、猛獣たちを思い浮かべます。49歳で入市税関を辞めて、50歳頃から異国風景や夢などエキゾチシズムあふれるジャングルの風景を描いた連作を発表します。パリの植物園や動物園に足繁に通い、熱帯の動植物を観察しましたが、実際には南洋には行ったことがなく、想像上の楽園でした。
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彼の描く風景には遠近感がほとんどありませんが、樹木や草花は葉の1枚1枚が几帳面に描かれています。美術書には「素朴派」の代表だとか、キュビスムやシュルレアリスムを先取りしたとかいろいろと書いてありますが、私は単純に人を引き付ける魅力がある絵が多いなあと思います。
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