レンブラントの自画像と人生

レンブラントは６３年の生涯で、６０点余りの自画像を残しています。ナショナル・ギャラリーには３４歳と６３歳の自画像があります。順番に並べてみると、その人の人生がわかって面白いです。

２３歳、ハーグ・マウリッツハウス王立美術館
レンブラントは１６０６年オランダのライデンの裕福な製粉業者の９番目の子として生まれます。修行の後、２０歳ごろにはすでに工房を構えていました。

２４歳、ストックホルム国立美術館
２５歳の時アムステルダムに移ります。レンブラントは市民をモデルにした肖像画にドラマチックな物語を入れ、人物にスポットライトを当てたように光を集中させる手法を編み出しました。

３４歳、ロンドン・ナショナル・ギャラリー
２８歳で名家出身のサスキアと結婚。彼は上流社会に入り、顧客を広げ、豪邸に住むことになります。

３７歳、マドリッド・ティッセン・ボルネミッサ美術館
３６歳の時に妻のサスキアが亡くなり、家政婦ヘールチェと関係を持ち、婚約不履行で訴えられ、サスキアの遺産相続も絡んで泥沼化します。このことで上流階級の信用を失い、大作の注文が途絶えてしまいました。

５３歳、ワシントン・ナショナル・ギャラリー
５０歳で破産して、借金返済のために豪邸も美術コレクションも手放すことになります。

５４歳、パリ・ルーブル美術館
でも実はレンブラントは相変わらず絵を描き続けていましたし、自分の絵を弟子にコピーさせ売りさばいていました。

５９歳、ロンドン、ケンウッド・ハウス
５７歳の時に心の支えであった内縁の妻のヘンドリッキェが亡くなります。

６３歳、ロンドン・ナショナル・ギャラリー
息子のティトゥスにも先立たれ、失意のうちにレンブラントは亡くなります。