ダンテの『神曲』三部作の第一編の中にある。ウェルギリウスに伴われて、ダンテは地獄の嵐の中で理性を省みずに己の情熱に身を任せて罰を受ける恋人たちに出会った。ラヴェンナ出身のフランチェスカは、政治的な理由で不具のジョヴァンニ・マラテスタに嫁いだのだが、義弟である美男のパオロと恋に落ちる。湖のラーンスロットとグィネヴィアの禁じられた恋の物語を読んで感動した２人は、接吻を交わす。その2人を目撃したジョヴァンニは、剣で２人を刺し殺す。
18世紀末の様々な翻訳や研究によって、数多くの画家や作家がダンテの詩を再発見し、それに慣れ親しむようになった。恋人たちの禁じられた愛は、芸術家たちに好まれ、彼らはロマン派的に、生きていたときの2人の恋人が読書していたり、抱き合ったりしているところを描いている。地獄のテーマに敏感であったシェーフェルは、1822年からこの主題にこだわっていた。画家は、地獄のテーマで、10点ほどの作品を描くことになる。画家が構想した、2つの魂、肉体と感情が結びついた飛翔の姿は、地獄の嵐の中に永遠に巻き込まれて空中で翼を広げた鳩という光景を描写している。
0 件のコメント:
コメントを投稿