2009年3月26日木曜日

ベリーニの牧場の聖母と風景の中のピエタ

ロンドン・ナショナル・ギャラリーの「牧場の聖母」

ヴェニス・アカデミア美術館の「風景の中のピエタ」


この2枚の絵は、今はロンドンとヴェニスに分かれていますが、ジョヴァンニ・ベリーニがほぼ同じ時期に描いた作品で、私はセットで描かれたものだと思っています。

「牧場の聖母」で、マリアは自分のひざの上で眠っている赤ちゃんが、後に死体で、同じように自分のひざに横たわることになるだろうと予感しているようです。幼児もほとんど生気のない姿に描かれおり、十字架上での死ぬことを予感させています。背景に叙情的な風景が広がりますが、よく見るとコウノトリと蛇、カラスと枯れ木など象徴的なものが描き込まれています。「牧場の聖母」では前方に草で青々した大地(生命)、後方のむき出しの土(死を象徴)が描かれていますが、「ピエタ」では、逆になっています。

結構、深い意味がある絵なんです。

2009年3月25日水曜日

ビザンチン美術

金色の天使が描いてある路線バスを見かけました。先週までロイヤル・アカデミーでやっていたビザンチウム(Byzantium)展の広告です。

これは展覧会の主要展示物である、ヴェニスのサン・マルコ寺院の「大天使ミカエルのイコン(Icon of the Archangel Michael)」です。12世紀、ビザンチン帝国時代のコンスタンチノーブルで造られたもので、銀細工に、金を貼り、エナメル加工 を施して、宝石で飾っています。

ローマ帝国は西暦395年、西ローマ帝国と東ローマ帝国に分裂しました。西ローマ帝国はすぐに崩壊しましたが、東ローマ帝国はビザンチン帝国と呼ばれ、キリスト教国として約1000年間、1453年にオスマン・トルコに滅ぼされるまで続きました。その間に、ギリシア・ローマ文化と、オリエント文化が融合したキリスト教文化であるビザンチン様式が誕生しました。

これもヴェニスのサン・マルコ寺院のお宝です。12世紀末にコンスタンチノーブルで造られた、教会の形をしてしている香入れです。

2009年3月24日火曜日

ピカデリー・サーカスのエロス像

有名なピカデリー・サーカスのエロスの像ですが・・・、

最近私が撮った写真の像と、ウィッキペディアの写真の像は、明らかに違うような気がします。

この像の作者のアルフレッド・ギルバートは、慈善家のシャフツベリー卿のために、エロスの双子の弟で慈愛の天使であるアンテロス(Anteros)の像を造ったのだそうです。アンテロスは蝶の羽、エロスは鳥の羽を持っています。

現在ピカデリー・サーカスにある像はどう見ても鳥の羽を持ってますね~。官能的な愛を表す双子の兄のエロスの方です。矢の方向も、あちこちのガイドブックに書いてあるようにシャフツベリー通りを指してはいません。

どうしてでしょうか?エロスの悪戯?

2009年3月23日月曜日

ラッセル・スクエアのプリムラの花壇

大英博物館に行く時に通るラッセル・スクエア。

プリムラの花壇が綺麗でした。

学名はPrimula Polyantha。多くの花を持つ桜草という意味だそうです。

品種改良が進んで、プリムラの仲間は400種もあるそうです。

2009年3月22日日曜日

キングストン墓地

郵便収集所からの帰り道、うちまでの近道を見つけました。

キングストン墓地です。

明るく、暖かい春の日差しの中を歩いたせいか、

私が有名墓地の見学で墓地慣れしているせいか、

楽しい散歩になりました。

うわっ。墓石が倒れている。

ああ、だから入口に「危険」「道路以外のところを歩くな」という注意書きがあったんですね~。

しばらく歩くとチャペルがありました。

最後のお別れのセレモニー用チャペルです。

このチャペルの周りには、1800年代の古い墓も多く、

素晴らしい彫刻もあり、見るからに高級そうでした。

こちらは焼場。英国は、インド・日本に次いで世界三番目の火葬国です。私も死んだら、体はここで焼かれるのでしょうね~。

新しい墓地は、灰を埋葬するので、一人当たりの面積が小さくなっていました。

こちらは赤ちゃん用墓地です。風車が供えてあったのが、印象的でした。

人の感傷に関係なく、リスが餌を求めてチョロチョロしています。

墓地の隣は住宅地。家の窓から墓地が見えるって、どうですか?

私はやっぱり花が咲いている墓がいいな。

ちょっと地味だけど、こんなのもいいかも。

今の時期、お墓でも水仙の花が目立っています。

花盛りの墓地歩き、あなたもいかがですか?

うちの近所側の墓地の出入口。また遊びに来ようかな?

2009年3月21日土曜日

春のリッチモンド・パーク

ロンドンの王立公園の中で最大規模を誇るリッチモンド・パーク。

春の花を求めて、イザベラ・プランテーションを歩いてみました。

入ってすぐの所に、小さな水仙がたくさん咲いていました。

あまり見かけない種類です。

落ち葉の間から、緑の芽が出始めています。

ここにも水仙が咲いていますが、

こちらは見慣れたラッパ水仙です。

「嵐が丘」などに出てくるへザー(Heather)は、学名をエリカ(Erica)といい、ツツジの仲間です。

ヨーロッパでは屋根葺きの材料や、箒、燃料など生活に欠かせない植物です。

英国は春本番。これから、毎日いろいろな花が咲き、葉が出てくることでしょう。

2009年3月20日金曜日

ネコヤナギ

イザベラ・プランテーション内にある池も、

少しずつ春らしくなってきました。

この木には「Salix Capresa」という名札が付いていました。

学名のSalixは、 ケルト語のsal(近い)+ lis(水)が 語源だそうです。確かに水辺の木ですよね。

英語名はPussy Willow。直訳するとネコヤナギ。

Goat Willowという名前もありますが、でも、ヤギヤナギは言い難いですよね。

北ヨーロッパ原産です。