2017年12月31日日曜日

ナショナル・ギャラリーで見るギリシャ神話の世界

ア ポロに自分の矢を嘲笑されたエロスは、仕返しにアポロに「恋する矢」を、川の神の娘ダフネに「恋しない矢」をそれぞれ放ちました。恋に落ちて彼女を追うア ポロ、逃げるダフネ。力尽きたダフネは父なる川の神に「私の姿を変えて」と願います。するとみるみるその手は枝になり、体は月桂樹の木になってしまいまし た。このポライウォーロの作品はアポロがダフネを捕まえた瞬間です。私はこの神話が大好きです。太陽の神で、ハンサムで、弓矢の名手(スポーツ万能)で、 竪琴の名手(楽器が弾ける)でも、片思いで終わる恋があるんですね~。ちなみに、普段アポロは月桂樹の冠をしてますが、それはダフネが変身した月桂樹の枝 なのです。
軍 神マースは、ジュピターとジュノーの息子ですが、凶暴で思慮に欠けるため、あまり評判があまり良くありません。争いのもとの悪い神様として描かれるか、 ヴィーナスの浮気相手として描かれることが多いようです。まあ、三月(フランス語でMars)や火星(Mars)は彼の名から来ていますが・・・。この絵 はボッティチェリの「ヴィーナスとマース」。イタリア以外で見られる唯一のボッティチェリの神話画だそうです。愛の場面(Hの後らしい)ということで、寝 室の家具に描かれていたみたいです。お疲れのマースは、サテュロスに悪戯されても目が覚めません。

ジュ ピターは浮気もの。ジュノーという怖い正妻がいるにもかかわらず、あちこちで浮気をして子供をつくります。王妃アルクメネを見初めたジュピターは王の姿を 装って彼女に近づき、ヘラクレスが誕生します。母アルクメネは女神ジュノーを恐れて育児放棄。困った父ジュピターは、何も知らない妻ジュノーに赤ん坊に乳 を与えるように仕向けます。赤ん坊のヘラクレスが力強く乳を吸うと、乳がほとばしり天に散って、ミルキーウェイ(Milkey Way、天の川)になったのでした。このティントレットの絵でも乳が天に散って星になってますね~。孔雀はジュノーの聖鳥で、鷹はジュピターの化身です。 それにしても、ジュピターって最高神でありながら最低男。浮気してつくった子を妻に育ててくれって?まあ、その後、嫉妬深いジュノーの復讐にあうわけです が・・・。

ク レタ島の王女アリアドネは糸を使って英雄テセウスを迷宮から助けたのがきっかけで、結婚を誓い合い一緒にギリシアに行くことになりました。しかし、ぺセウ スは途中立ち寄ったナクソス島にアリアドネを置き去りにしてしまいます。最低男ですね~。まあ、これはバッカスの策略という話もありますが・・・。この ティッティアーノの絵は、テセウスが乗った船を見て悲しんでいるアリアドネの前に、バッカスが現れたシーンです。バッカスの取り巻きはサテュロス(山羊 脚)やバッカンテ(楽器や踊り担当の酔っ払いの女たち、半裸の姿で山中を歩き、野獣を見れば殺してむさぼり食う凶暴な人たち)です。アリアドネを見初めた バッカスは、嘆く彼女を慰めるうちに、結婚することになりました。この絵は青い色を多く使ってますが、とても高価なラピスラズリが原料のウルトラマリンを 使っています。依頼主がお金持ちじゃ無かったら、描けない絵なんです。


ア クタイオンが狩の帰り、泉で月の女神のダイアナがニンフたちが水浴びをしているのを見てしまいました。激怒したダイアナはアクタイオンを牡鹿に変え、逃げ る牡鹿に主人と知らない彼の猟犬たちが飛び掛り八つ裂きにしてしまいました。この絵でティツィアーノは頭だけが鹿になったアクタイオンが非業の死をとげる 場面を描いています。ダイアナは矢を放つ姿勢をとっていますが、弓矢は描かれていません。

ペ レウスと海のニンフのテティスの結婚式にはオリンポスの神々が揃って集まりましたが、不和の女神エリスだけが招待されませんでした。怒ったエリスは宴会に 黄金の林檎を投げ込みます。それには「世界で一番美しい女神へ」と書かれていました。「一番美しいのは私です。」と思ったのは、ジュノー、ヴィーナス、ミ ネルバの3人でした。誰に林檎を渡したらいいのか困ったジュピターは、判定をトロイの王子で羊飼いのパリスに押し付けます。この絵はルーベンスが描いた 「パリスの審判」です。ジュノーは権力で、ミネルバは戦勝で、ヴィーナスは人間の最高の美女で、パリスを買収しようとします。そしてパリスはお金よりも、 力よりも、美女を選び、ヴィーナスに黄金の林檎を渡したのでした。

パ ンは牧神で、バッカスの従者です。怒ると恐ろしい面があり、パニックの語源にもなっています。このブーシェの絵はパンがニンフのシュリンクスを追いかけ、 抱きついた瞬間に彼女は葦に変わってしまった場面を描いています。その後、彼は葦笛シュリンクス吹く音楽家となり、音楽の神アポロとも腕前を競うほどにな ります。ロココ時代のフランスでは、女性のヌードがよりHに描かれていますね~。

2017年12月28日木曜日

テート・モダンで見るギリシャ神話の世界


ナ ルシストの語源になったナルキッソスは、水に映る自分の姿に恋してます。決して報われることのない恋。彼は、力尽きて死んでしまい、ナルシスの花(水仙) に姿を変えました。彼の話にはニンフのエコーが付き物だけど、声のみなのだから、絵に直接描かれることは少ないようです。でも、このダリの絵では、リピー トすることによって、エコーの存在を表現しています。

2017年12月27日水曜日

V&Aの彫刻で見るギリシャ神話の世界

ウエッジウッドの有名な陶器の壺に描かれている女性は海のニンフのテティス。裏側に描かれているテッサリア王のペレウスが彼女にプロポーズしに行くところです。彼らはめでたく結婚し、アキレスという男の子が生まれます。

母 テティスは、アキレスの不死を願って、生まれたばかりの彼を冥界の川の水に浸しました。しかし、踵とをつかんでいたため、そこだけが不死の水に触れずに、 彼の弱点として残ってしまいました。これがアキレス腱の由来です。その後、彼は武術ばかりでなく、竪琴も上手な立派な青年に成長します。

トロイ戦争はギリシア軍として参戦、戦況はギリシア軍優位になりますが、最後にアポロに導かれたトロイアの王子パリスの放った矢がアキレスの踵を射抜いてアキレスは死んでしまいます。

三美神は、ジュピターの娘たちで、タレイア(花の盛り)、エウプロシュネ(喜び)、アグライア(輝く女)とされています。3人の女神が手を取り合い、中央の一人が背を向けるという古典的な形式(ポンペイ壁画にもある)が主流です。

アポロの双子の妹で、月の女神ダイアナ。獲物を求めて森の中を駆け巡る狩人としてのイメージが定着しています。純潔にこだわり、異性を寄せ付けないばかりか、従うニンフたちにも処女であることを守らせています。

海の神ネプチューンは、三叉の矛を持ち、海獣を従え、髭を蓄えた姿で表現されています。普段は海底の宮殿に暮らしています。息子のトリトンは人魚で、ほら貝を高らかに吹き鳴らし、荒れた海を沈めることができます。

ジュ ピターはバルカンに人類最初の女性パンドラ(旧約聖書のイヴと同一視されています)を泥土から造らせました。彼女は神々から贈り物を授かりますが、パンド ラが箱を開けた途端、地上にあらゆる禍が飛び出してきました。あわてて箱の蓋をしましたが、残ったのは「希望」だけでした。


ジュ ピターはスパルタ王妃レダに恋し、白鳥に姿を変えて思いを遂げます。そしてレダが生んだ卵から生まれてきたのがヘレネでした。彼女は美しく成長し、メネラ オスを婿に向かえスパルタ王妃になっていましたが、トロイアの王子パリスが彼女を強奪し、トロイアに連れて帰りました。こうして神々や英雄たちを巻き込ん だトロイア戦争が始まったのでした。この彫刻はカノーヴァ(1757~18220)という有名な彫刻家が作成した絶世の美女ヘレネです。

2017年12月25日月曜日

ナショナル・ギャラリーの絵で見る旧約聖書の世界

旧約聖書にはイスラエル建国の歴史が書かれており、ユダヤ教の聖書に当たります。日本だと日本書紀みたいな感じでしょうか?ユダヤ教では、イエスを救世主 だと認めていません。でも、ヨーロッパの美術館には旧約聖書を主題にした絵もたくさんあるので、教養として知っておいた方がいいと思います。今日は、旧約 聖書について、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの絵で解説しようと思います。

ア ダムとイブ。神は土でアダムを作り、アダムの骨からイヴをつくりました。エデンの園で楽しく暮らしていましたが、イヴが蛇にそそのかされて知恵の樹から林 檎を食べてしまいました。神は女には子供を生む苦しみと男への服従を、男には食物を得る苦労を与え、エデンの園から追放します。

人間の数が増えると、神を恐れなく傲慢な気持ちになり、バベルでは天まで届く高く大きな塔を作って名を上げようと思う人が出てきます。現在でもいますね、そういう人。神は人間のこの高慢な企てを拒むために、彼らの言葉を混乱させました。

アブラハムと妻サラは神から待望の子供を授かり、イサクと名づけられます。平和な日が続きましたが、ある時神は息子を捧げよと命じます。彼はイサクを山に連れて行きます。

祭壇の上でイサクの喉元に小刀を当てた瞬間、天子が現れてその手を止めると「お前が神を畏れるものであることがよくわかった」という神の声を聞きました。

ア ブラハムの甥のロトの住んだ街は男色のはびこるみだらな町でした。天使たちがロトの前に現れ、「明日この街は滅びます。急いで逃げなさい。」と告げまし た。半信半疑のままロトの家族はソドムとゴモラの町から逃げ出しますが、「後ろを振り返ってはならない」という神の言葉に反して、未練がましく後ろを見た ロトの妻は塩の柱になってしまいました。その後、子孫を絶やすまいとする娘たちが、ロトにワインを飲ませ酔わせて、父親と交互に交わります。

ア ブラハムの子のイサクが年頃になり、嫁を探すために下僕のエリエゼルをメソポタミアに差し向けました。井戸端で、水瓶から彼にたっぷり水を与えて、ラクダ たちにも水を飲ませたレベッカをを見て、この人だと思いました。レベッカはイサクの妻となるために、下僕とカナンへと旅立ちます。

イサクの孫のヨセフは、「兄さんたちの穀物の束が、僕の束にお辞儀をするのを見た」と吹聴したことから、エジプトに向かう隊商に売られてしまいます。

エジプトでは七頭の痩せた牛が七頭の太った牛を飲み込んだという王の夢を、七年の豊作とそのあとの飢饉と解いて、夢解釈人として出世しました。飢饉でエジプトを訪れた兄たちと会い、その後父のヤコブをエジプトに呼び寄せました。

そ の後、多くのイスラエル人がエジプトに住みましたが、エジプト人はイスラエル人が増えるのを好ましく思いませんでした。そこでエジプト王はイスラエル人の 男子が誕生したら殺すよう命令を出しました。モーセの母親は葦で編んだ籠の中に赤ん坊を入れ、川に流しました。ちょうどその時に水遊びに来ていたエジプト 王女が赤ん坊を発見し、モーセは宮殿で育てられることになります。乳母として連れてこられたのは、モーゼの母親でした。

立派に成長したモーセは、燃えているのになかなか燃え尽きない柴を目にします。近づくモーセに、神は「モーセよ、イスラエル人を救い出し、カナンの地に人々を導くがいい。」と言います。

モーセをはじめイスラエル人はエジプトを去りますが、王は軍を率いて彼らを紅海に追い詰めました。モーセが手を差し伸べると海は二つに分かれて渡ることができました。

エジプトを脱出して荒野の中を歩く一向は空腹を訴えました。ある朝露が降り、乾くとマナという白い食べ物が残りました。「主が下さったパンだ。必要な分だけ集めるがよい。」とモーゼは言いました。

エジプトを出てから3ヶ月して、モーセはシナイ山に到着しました。山に登って神様から十戒を授かりました。

モーセがなかなか山から帰ってこないので、人々は黄金の子牛をつくり、礼拝しました。モーセは怒り、授かった板をたたきつけ、牛の象を粉々にしました。

カナンへの旅も辛さを増し、不平を言う人が出てきました。神様は蛇を遣わし、多くの人がかまれて死にました。人々は「どうか蛇を取り除いてください」とモーセに頼みました。モーセは青銅で一つの蛇を作り、その後蛇にかまれてもこれを仰ぐと命が助かりました。

サ ムソンは20年間イスラエルを統治しましたが、乱暴者でした。ぺリシテ人のデリラという女性に恋した彼は、怪力の秘密が頭髪にあることをしゃべってしまい ます。デリラに頭を刈られた彼は敵の捕虜になり、目をえぐられ、粉引きの仕事をさせられます。しかし、髪が伸びると力も戻り、柱を押し倒して脱出しまし た。

ベツレヘムのルツは、夫や子供たちに先立たれ、姑のナオミの世話をしながら、畑で一日中落ち穂を拾い、パンを焼いて暮らしていました。それが姑の親類のボアズの心をとらえ、結婚します。

エッサイの樹はキリストの家計図のことです。エッサイが下に横たわり、そのわき腹生えている木のすぐ上にはダヴィデ王がおり、上中央には聖母子がいます。

ダヴィデはぺリシテ軍の戦士ゴリアテと戦い、投石によって眉間に打撃を与え、その首を落としました。ダヴィデは首都をエルサレムに移し、イスラエル王国は繁栄の時代を迎えます。

ダヴィデは人妻バテシバを見初めると、その夫に危険な任務を与えて戦死させ、彼女を妻としました。

ダヴィデとバテシバの間の子ソロモンは、知恵者でうまく国を治めました。イスラエルが繁栄の頂点に達すると、ソロモンは巨費を投じてりっぱな宮殿を建設しました。

ある時、エジプトからシバの女王が彼の知恵を試しにやってきましたが、難問すべてを簡単に解かれると、彼女は王の知恵の素晴らしさと、宮殿の立派さに感嘆し、多くの贈り物をしました。しかし、乱費がたたり、王の死後、王国は南北に分裂しました。

ペルシャ王クセルクセスは、ユダヤの娘エステルを妃に選びました。ユダヤ嫌いの大臣ハマンはユダヤ民族全滅を企てたことを知ったエステルは王のものへ参上して陰謀を暴露しました。

北イスラエルに、干ばつを預言し、子供の命を救ったエリヤという預言者がでます。しかし、彼は王妃イゼベルの広める異教のバール神信仰を糾弾したため、王妃に命を狙われて荒野に逃げました。天使が現れ、彼にパンと水を与えたので、激しい生活に耐えることができました。

イ ザヤ、エレミヤ、エゼキエル、ダニエルを四大預言者というのだそうです。特にイザヤは、エッサイの家系から救世主が出ることを予言したことで知られます。 イスラエルはアッシリアの支配下になりますが、イザヤの預言した通り、敵軍に奇病が流行して、国はかろうじて助かります。

アッ シリアに代わってバビロニアが強大になり、エルサレムは占領され、人々はバビロンへ連行されます。ソロモンの神殿や宮殿破壊され、国は滅びました。この絵 に描かれているバビロニアのベルシャザル王は、父王のネブカデネザルがエルサレムの神殿から略奪した金銀の器でワインを飲んでいました。そこに人の手が現 れて白い壁に文字を書き始めました。それは、その夜にベルシャザルが殺されて、バビロニア王国が滅びるという予告でした。

エルサレム近郊に住む未亡人ユディットは、アッシリアの陣地に侵入して、相手を信用させ、ホロフェルネス将軍が眠り込んだ隙に側にあった剣で首を切りました。将軍が亡くなったアッシリア軍は混乱して、退散しました。

トビトは貸した金を集めに息子のトビアスをメディアに旅立たせます。大天使ラファエルが同行します。

2017年12月24日日曜日

ナショナル・ギャラリーで見る新約聖書の世界

キリストの生涯についてまとめてみました。


大天使ガブリエル(左)がマリアのもとに来て、神の子を身ごもることを告げます。
マリアはベツレヘムの宿屋の家畜小屋で男の子を出産します。赤ちゃんは飼葉桶に寝かされて、イエスと名づけられました。
その夜、ベツレヘムの近くで羊の夜番をしていた羊飼いたちのもとへ天使が現れ、メシアの誕生を告げました。彼らは早速ベツレヘムに向かい、誕生のお祝いを述べました。
未来のユダヤ王が誕生したという星の知らせを受けて、東方の3博士たちはエルサレムを訪れていました。そして星に導かれてベツレヘムにたどり着きます。彼らは、聖母に抱かれたキリストに、黄金、乳香、没薬を贈ります。
キリストの誕生から40日が経過して、マリアはキリストを抱き、ヨセフと共にエルサレムの神殿に赴きました。「救世主を見るだろう」と予言されたシメオンという男が来て、イエスを抱きました。
ユダヤのヘロデ王は「未来のユダヤ王誕生」の知らせに激怒して、ベツレヘム地方の2歳以下の男児を殺すよう命令しました。
「幼子を連れてエジプトへ逃れなさい」という天使のお告げにしたがって、マリアとヨセフはイエスを連れて、エジプトに避難しました。
ヘロデ王が亡くなると、イエスはイスラエルに帰ってきて、ナザレで成長しました。
12歳の時、過ぎ越しの祭りを祝うためにエルサレムに行きましたが、家族とはぐれてしまいました。両親がようやく神殿の中でイエスを見つけた時、彼はユダヤの学者たちと語り合っていました。
ヨハネの洗礼を受けにヨルダン川のほとりに向かいました。
洗礼の後、イエスは修行をしたり、教えを広げたりしました。奇跡も行いました。ガラリアのカナという村の婚礼に行ったとき、ワインが足りなくなったので、甕に入った水をワインに変えました。
ユダヤの学者たちが、キリストの前に不義をはたらいて捕らえられた女を連れてきました。「この女は石打ちの刑でしょうか」。キリストは答えました。「あなた方の中で罪のないものが、まず石を投げなさい」。彼らは無言で帰って行きました。
マグダラのマリアの弟のラザロは死んでから4日たっていましたが、イエスが「ラザロ出てきなさい」と呼びかけると、全身を布に巻かれたラザロがよみがえりました。
マルタとマリアが家にイエスを迎え入れたとき、マルタはかいがいしく世話をしているのに、マリアはキリストの話を聞いているだけで手伝いません。文句を言うマルタに対し、イエスは神の言葉に耳を傾ける方が大切と言います。
イエスと弟子たちは過ぎ越しの祭りにエルサレムに入ります。神殿に行くとそこには両替商人の店や、巡礼が奉納するための羊や鳩を売る店でごった返していました。イエスは激しい怒りに駆られ、縄で鞭を作って、それをふるって屋台を叩き壊しました。
最後の晩餐の前にイエスは弟子たちの足を洗い始めました。足を洗うのは召使の仕事なので、ペテロは拒みましたが「あなたを洗わなければ私の仲間ではないことになる。」と言われ、「それでは足だけでなく、手も頭もお願いします。」と言い返しました。
過ぎ越しの祝いの食事が始まりました。イエスはパンをもって「食べなさい。これが私の体です」ワインをもって「これが私の血です」と弟子たちに言いました。食事の半ばに「あなた方の一人が私を売り渡すだろう」と言います。
晩餐の後、イエスはオリーヴ山に弟子のペテロ、ヤコブ、ヨハネとやってきました。イエスは天に向かって祈りました。弟子たちは眠り込んでいます。向こうからユダが兵士たちを引き連れてやってきます。
ゲツセマネの園で逮捕されたあと、大祭司カヤパの前で尋問にかけられ裁かれます。カヤパの背後にいる男たちがイエスに不利な証言をしますが、イエスは黙っていました。
ユダヤ人たちはキリストの身柄をユダヤのローマ総督ピラトのもとへ送り、最終決定を迫ります。ユダヤ人の圧力を無視できないピラトは手を洗ってかかわりのないことを示しました。
イエスは着衣をはがされて、柱に両手首を縛られて、鞭で打たれました。
ピラトは群衆の前に姿を現し、「この人を見よ(Ecce Homo)。あなた方が十字架につけるがよい。私には彼に罪は認められない。」と言いましたが、ユダヤ人の祭司たちには逆らえませんでした。
イエスは緋色の着物を着せられ、荊の冠を被せられました。イエスはピラトの公邸から処刑地のゴルゴダの丘まで十字架を背負わなければなりませんでした。鞭打ちなどで消耗していたイエスは何度もつまずき倒れました。ヴェロニカが彼の汗を拭っています。
悲しみを湛えたキリストの姿。
ゴルゴダの丘に辿り着いたイエスは兵士たちから衣を剥ぎ取られます。そして、十字架にかけられ、手足に釘を打たれています。
ピラトは「ナザレ人イエス、ユダヤ人の王」と書かれた札を十字架に添えました。イエスは天を見て「神よ、なぜ私をお見捨てになったのですか」と言いました。兵士が槍で脇腹を突き、イエスは絶命しました。
アリマタヤのヨセフが、遺体を引き取ることを許されました。彼らは磔の釘を抜き、十字架からキリストの遺骸を抱かえ下ろしました。それを見守っているのは聖母マリア、マグダラのマリア、聖ヨハネです。
死んだわが子を見て悲しむ聖母マリア。足元で悲しんでいるのはマグダラのマリア。
アリマタヤのヨセフとパリサイ人のニコデモは、ゴルゴダの丘の麓にある小さな園にある墓にイエスを運びました。
イエスが死んで3日目のことです。番兵たちはすっかり眠りこけている中、イエスは墓から立ち上がりました。
泣いていたマグダラのマリアが振り向くと、後ろにイエスがいました。駆け寄るマリアに「私に触ってはいけない(Noli me tangere)。まだ父のところに上がってはいないのだから」と言います。
復活の日、二人の弟子たちがエルサレム近郊のエマオ村へ向かいました。途中で一人の男に会います。日が暮れたころ村にたどり着いた弟子たちは、男を夕食に誘います。男が食卓でパンに祝福を与えて裂いて彼らに渡した時、二人はこれまで見えていなかった心の目が開き、彼がキリストであることを知りました。
使徒たちが戸を閉ざして集まっていたところにもキリストは現れましたが、トマスは居合わせませんでした。「脇腹の傷跡に指を差し入れてみるまで、私は信じない」と言っていたトマスの前に、8日後にキリストが現れ「さあ、指を差し込んでみなさい。私を見たから信ずるのか。幸いなのは見ないで信ずる者たちだ」と言いました。
復活から40日がたち、多くの人々の前に出現したキリストも天に召される時が近づいていました。オリーブ山の上、使徒たちが見守る中、キリストは天に昇って行きました。
ユダヤの学者たちが、キリストの前に不義をはたらいて捕らえられた女を連れてきました。「この女は石打ちの刑でしょうか」。キリストは答えました。「あなた方の中で罪のないものが、まず石を投げなさい」。彼らは無言で帰って行きました。
マグダラのマリアの弟のラザロは死んでから4日たっていましたが、イエスが「ラザロ出てきなさい」と呼びかけると、全身を布に巻かれたラザロがよみがえりました。
マルタとマリアが家にイエスを迎え入れたとき、マルタはかいがいしく世話をしているのに、マリアはキリストの話を聞いているだけで手伝いません。文句を言うマルタに対し、イエスは神の言葉に耳を傾ける方が大切と言います。
イエスと弟子たちは過ぎ越しの祭りにエルサレムに入ります。神殿に行くとそこには両替商人の店や、巡礼が奉納するための羊や鳩を売る店でごった返していました。イエスは激しい怒りに駆られ、縄で鞭を作って、それをふるって屋台を叩き壊しました。
最後の晩餐の前にイエスは弟子たちの足を洗い始めました。足を洗うのは召使の仕事なので、ペテロは拒みましたが「あなたを洗わなければ私の仲間ではないことになる。」と言われ、「それでは足だけでなく、手も頭もお願いします。」と言い返しました。
過ぎ越しの祝いの食事が始まりました。イエスはパンをもって「食べなさい。これが私の体です」ワインをもって「これが私の血です」と弟子たちに言いました。食事の半ばに「あなた方の一人が私を売り渡すだろう」と言います。
晩餐の後、イエスはオリーヴ山に弟子のペテロ、ヤコブ、ヨハネとやってきました。イエスは天に向かって祈りました。弟子たちは眠り込んでいます。向こうからユダが兵士たちを引き連れてやってきます。
ゲツセマネの園で逮捕されたあと、大祭司カヤパの前で尋問にかけられ裁かれます。カヤパの背後にいる男たちがイエスに不利な証言をしますが、イエスは黙っていました。
ユダヤ人たちはキリストの身柄をユダヤのローマ総督ピラトのもとへ送り、最終決定を迫ります。ユダヤ人の圧力を無視できないピラトは手を洗ってかかわりのないことを示しました。
イエスは着衣をはがされて、柱に両手首を縛られて、鞭で打たれました。
ピラトは群衆の前に姿を現し、「この人を見よ(Ecce Homo)。あなた方が十字架につけるがよい。私には彼に罪は認められない。」と言いましたが、ユダヤ人の祭司たちには逆らえませんでした。
イエスは緋色の着物を着せられ、荊の冠を被せられました。イエスはピラトの公邸から処刑地のゴルゴダの丘まで十字架を背負わなければなりませんでした。鞭打ちなどで消耗していたイエスは何度もつまずき倒れました。ヴェロニカが彼の汗を拭っています。
悲しみを湛えたキリストの姿。
ゴルゴダの丘に辿り着いたイエスは兵士たちから衣を剥ぎ取られます。そして、十字架にかけられ、手足に釘を打たれています。
ピラトは「ナザレ人イエス、ユダヤ人の王」と書かれた札を十字架に添えました。イエスは天を見て「神よ、なぜ私をお見捨てになったのですか」と言いました。兵士が槍で脇腹を突き、イエスは絶命しました。
アリマタヤのヨセフが、遺体を引き取ることを許されました。彼らは磔の釘を抜き、十字架からキリストの遺骸を抱かえ下ろしました。それを見守っているのは聖母マリア、マグダラのマリア、聖ヨハネです。
死んだわが子を見て悲しむ聖母マリア。足元で悲しんでいるのはマグダラのマリア。
アリマタヤのヨセフとパリサイ人のニコデモは、ゴルゴダの丘の麓にある小さな園にある墓にイエスを運びました。
イエスが死んで3日目のことです。番兵たちはすっかり眠りこけている中、イエスは墓から立ち上がりました。
泣いていたマグダラのマリアが振り向くと、後ろにイエスがいました。駆け寄るマリアに「私に触ってはいけない(Noli me tangere)。まだ父のところに上がってはいないのだから」と言います。
復活の日、二人の弟子たちがエルサレム近郊のエマオ村へ向かいました。途中で一人の男に会います。日が暮れたころ村にたどり着いた弟子たちは、男を夕食に誘います。男が食卓でパンに祝福を与えて裂いて彼らに渡した時、二人はこれまで見えていなかった心の目が開き、彼がキリストであることを知りました。
使徒たちが戸を閉ざして集まっていたところにもキリストは現れましたが、トマスは居合わせませんでした。「脇腹の傷跡に指を差し入れてみるまで、私は信じない」と言っていたトマスの前に、8日後にキリストが現れ「さあ、指を差し込んでみなさい。私を見たから信ずるのか。幸いなのは見ないで信ずる者たちだ」と言いました。
復活から40日がたち、多くの人々の前に出現したキリストも天に召される時が近づいていました。オリーブ山の上、使徒たちが見守る中、キリストは天に昇って行きました。