ア ポロに自分の矢を嘲笑されたエロスは、仕返しにアポロに「恋する矢」を、川の神の娘ダフネに「恋しない矢」をそれぞれ放ちました。恋に落ちて彼女を追うア ポロ、逃げるダフネ。力尽きたダフネは父なる川の神に「私の姿を変えて」と願います。するとみるみるその手は枝になり、体は月桂樹の木になってしまいまし た。このポライウォーロの作品はアポロがダフネを捕まえた瞬間です。私はこの神話が大好きです。太陽の神で、ハンサムで、弓矢の名手(スポーツ万能)で、 竪琴の名手(楽器が弾ける)でも、片思いで終わる恋があるんですね~。ちなみに、普段アポロは月桂樹の冠をしてますが、それはダフネが変身した月桂樹の枝 なのです。
軍 神マースは、ジュピターとジュノーの息子ですが、凶暴で思慮に欠けるため、あまり評判があまり良くありません。争いのもとの悪い神様として描かれるか、 ヴィーナスの浮気相手として描かれることが多いようです。まあ、三月(フランス語でMars)や火星(Mars)は彼の名から来ていますが・・・。この絵 はボッティチェリの「ヴィーナスとマース」。イタリア以外で見られる唯一のボッティチェリの神話画だそうです。愛の場面(Hの後らしい)ということで、寝 室の家具に描かれていたみたいです。お疲れのマースは、サテュロスに悪戯されても目が覚めません。
ジュ ピターは浮気もの。ジュノーという怖い正妻がいるにもかかわらず、あちこちで浮気をして子供をつくります。王妃アルクメネを見初めたジュピターは王の姿を 装って彼女に近づき、ヘラクレスが誕生します。母アルクメネは女神ジュノーを恐れて育児放棄。困った父ジュピターは、何も知らない妻ジュノーに赤ん坊に乳 を与えるように仕向けます。赤ん坊のヘラクレスが力強く乳を吸うと、乳がほとばしり天に散って、ミルキーウェイ(Milkey Way、天の川)になったのでした。このティントレットの絵でも乳が天に散って星になってますね~。孔雀はジュノーの聖鳥で、鷹はジュピターの化身です。 それにしても、ジュピターって最高神でありながら最低男。浮気してつくった子を妻に育ててくれって?まあ、その後、嫉妬深いジュノーの復讐にあうわけです が・・・。
ク レタ島の王女アリアドネは糸を使って英雄テセウスを迷宮から助けたのがきっかけで、結婚を誓い合い一緒にギリシアに行くことになりました。しかし、ぺセウ スは途中立ち寄ったナクソス島にアリアドネを置き去りにしてしまいます。最低男ですね~。まあ、これはバッカスの策略という話もありますが・・・。この ティッティアーノの絵は、テセウスが乗った船を見て悲しんでいるアリアドネの前に、バッカスが現れたシーンです。バッカスの取り巻きはサテュロス(山羊 脚)やバッカンテ(楽器や踊り担当の酔っ払いの女たち、半裸の姿で山中を歩き、野獣を見れば殺してむさぼり食う凶暴な人たち)です。アリアドネを見初めた バッカスは、嘆く彼女を慰めるうちに、結婚することになりました。この絵は青い色を多く使ってますが、とても高価なラピスラズリが原料のウルトラマリンを 使っています。依頼主がお金持ちじゃ無かったら、描けない絵なんです。
ア クタイオンが狩の帰り、泉で月の女神のダイアナがニンフたちが水浴びをしているのを見てしまいました。激怒したダイアナはアクタイオンを牡鹿に変え、逃げ る牡鹿に主人と知らない彼の猟犬たちが飛び掛り八つ裂きにしてしまいました。この絵でティツィアーノは頭だけが鹿になったアクタイオンが非業の死をとげる 場面を描いています。ダイアナは矢を放つ姿勢をとっていますが、弓矢は描かれていません。
ペ レウスと海のニンフのテティスの結婚式にはオリンポスの神々が揃って集まりましたが、不和の女神エリスだけが招待されませんでした。怒ったエリスは宴会に 黄金の林檎を投げ込みます。それには「世界で一番美しい女神へ」と書かれていました。「一番美しいのは私です。」と思ったのは、ジュノー、ヴィーナス、ミ ネルバの3人でした。誰に林檎を渡したらいいのか困ったジュピターは、判定をトロイの王子で羊飼いのパリスに押し付けます。この絵はルーベンスが描いた 「パリスの審判」です。ジュノーは権力で、ミネルバは戦勝で、ヴィーナスは人間の最高の美女で、パリスを買収しようとします。そしてパリスはお金よりも、 力よりも、美女を選び、ヴィーナスに黄金の林檎を渡したのでした。
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