2016年8月20日土曜日

ブラック・フライヤーズ・パブ (中世のロンドン)

 ブラック・フライヤーズ・パブはとても目立つ建物です。
 
中世にはドミニコ会の修道院(1278~1538年)がありました。修道士が着ていたローブの色が黒かったので、このエリアはブラック・フライヤーズと呼ばれています。パブは1875年に修道院の南西門の辺りに建てられました。

店内は狭く、托鉢僧の彫刻や修道院の教訓で溢れています。修道院時代はローマ教皇と英王室の外交関係を取り持った枢密院が置かれ、ヘンリー8世とアラゴン王女との離婚調停裁判も行われました。修道院解体後の16世紀後半にはブラックフライアーズ劇場として再生され、シェイクスピア率いる国王一座は、夏はグローブ座、冬はここで演じました。

13世紀初めに南仏で創立されたドミニコ会は薬作りも有名で、世界最古の薬局イタリアはフィレンツェの「サンタ・マリア・ノヴェッラ」もドミニコ会です。ブラック・フライヤーズ修道院でも薬草が栽培されていました。宗教改革で廃院された後、土地の一部は薬剤師ギルドが購入しホールを建設したり、チェルシー薬草園を造ったりしました。処方箋薬局を全国に広めて、20世紀末まで英国の家庭医(General Practitioner)資格を審査していました。エドワード・ジェンナーはアポテーカリーの会員でしたし、アガサ・クリスティはここで薬剤師資格を取っています。

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