ロンドン・ナショナル・ギャラリーにあるマネの「マキシミリアンの処刑」。この絵が破損しているのは、作者のマネ本人が自分自身の手で絵をいくつもの部分にバラバラに切りはなしてしまい、後に友人の画家のドガが集めて貼り合わせたものだからです。
マキシミリアンはオーストリア・ハンガリー帝国の皇帝のフランツ・ヨーゼフの弟です。1864年、メキシコの内政干渉に乗り出したナポレオン3世によって、メキシコに帝国を樹立させ、その皇帝にマキシミリアン大公を据えたのでした。しかし間もなく革命が起こり、フランス軍は1867年3月12日メキシコからの撤退してしまいます。しかしマキシミリアンはフランス軍と共にヨーロッパへ帰ることを拒み、革命軍に捕らえられ1867年6月19日に銃殺されてしまいました。在位わずか3年でした。この絵はフランスでニュースを聞いたマネが同じ年に描いた「皇帝マキシミリアンの処刑」です。
マネは全部で5枚の「マキシミリアンの処刑」を描きました。処刑から2年後に完成したマンハイム美術館の絵が一番有名ですね。
マネは若い時にスペインを旅行しており、プラド美術館でゴヤの「プリンシペ・ピオの丘での銃殺」は見ているので、処刑シーンを描く時に参考にしたと考えられます。ゴヤの絵は1808年5月3日にナポレオン軍によって処刑されるスペイン市民です。
マネには他にも有名な絵をヒントに描いた作品があります。例えばオルセー美術館にある「オランピア」は、
ウフィツィ美術館にあるティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」を参考にしていますし、
オルセー美術館にある「草上の昼食」は、
ルーブル美術館にあるジョルジョーネの「田園の奏楽」を参考にしています。
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